樹種の説明
Hacoaでは主に無垢材を使用しています。
無垢材とは一本の原木を切り出し、製材後に時間を掛け乾燥させた、つなぎ目の無い純粋な天然木の事。木本来の質感や風合いという面で大変魅力的な素材であり、気持ちの良い手触り感や温かさ、香りを楽しむことが出来ます。木は育った場所や気候等の環境によって、木目や色、節などの一つひとつに木の個性が生まれます。そんな個性あるそれぞれの木材の特徴と私達が加工中に感じている一言をこのカードに述べさせて戴きました。
私達が生まれる何十年、何百年も前に皆様のお手元に届く運命にて誕生した樹を加工し、そのお手伝いが出来た事を思えば、神秘的な関係を感じます。
下記に各樹種の見本をご用意しました、樹種を選ぶ際の参考にしていただければ幸いです。
※下記の説明には私達が加工中に感じた事を添えさせて戴いております。
メープル
北米に生植する楓の木。清楚な白さの美しい木目は人気も高く、銘木の代表材です。衝撃に強いと言われ、ボウリングのピンや野球のバットに使われるように非常に硬く加工は難しい木材です。硬く、蜜を含む事で狂い易いこの木材は、刃物も切れ止み、加工には高度な技術を必要とします。加工中はメープルシロップの甘い香りが工房内に漂い、空腹時には堪えます。塗装を施したメープル材は木目がみずみずしく、美しい仕上がりとなります。使い込む程に白味から黄色味を帯びていき、木材らしい色への変化を楽しめる木材です。
アメリカン・ブラック・ウォールナット
北米に生植する、くるみの木。芯材の黒紫色と辺材の灰紫色が特徴的な木材で銘木と呼ばれ、仕上がった商品は、カジュアルさもあり、風合いも良く、人気の木材となっています。加工中はくるみの実のような、ほのかに酸っぱい匂いが漂います。抜群に加工し易い木材で、木色が特徴的な美しい商品に仕上がります。色味の幅は黒味の多いものから赤紫の多いもの、薄茶色から白味の多いものと他の材と比較しても色の幅広さが群を抜いており、同じ色味が揃えることの出来ない特色を持った材です。使いこむ程に色褪せし、景色に溶け込む味のある木材です。
ローズウッド
インドネシアやマレーシアなどの南洋地に生植するローズウッドはWWFにて指定された地域で生育し、規制もあり、希少高価な木材です。1立方mの大きさで軽自動車が買える程の高級材。赤紫褐色から紫色を帯びた暗褐色や、黒紫色の縞模様をまとったもの等と、模様がさまざまな木目の美しい木材です。非常に硬く、刃物も切れ止み、加工し難いうえに非常に重い木材で、加工は重労働で疲れます。切削中は薔薇のような匂いが漂う香りの良い木材。硬い木材なので使い込む程に磨いたように艶を増し、風合いが高まり、高級感を漂わす楽しさのある木材です。
チーク
インドネシアやマレーシアなどの南洋地に生植するチーク材は、豪華客船の甲板や家具等に使われる高級材として有名な南洋木材。WWFにて指定された地域で生育し、規制もあり、希少高価な木材です。1立方mの大きさの材料で軽自動車が買える程です。製材直後は、人肌のような薄ピンクな色目ですが、目で見える程に日焼けし、革のような風合いを奏でます。美しい色を引き出す為に製材後に時間を掛けて、木を天日干し、美しい色合いに仕上げています。独特の油分が含まれ、加工中には油の匂いが漂います。手間を掛ける程に美しくなる楽しみな木材です。
カリン
タイやミャンマーといった東南アジアに生植するマメ科の木材。比較的高価な木材で唐木として有名です。赤褐色が美しい材料で、木目も黒縞模様の強いものや赤味の多いものと表情豊かな木材です。比較的重く、加工は重労働ですが、加工性も良く、塗装のノリも優れ、美しい商品の仕上がりの際は、職人冥利に尽きる楽しさを感じさせてくれます。加工中は鼻を突くツンっとした油に似た独特の匂いが漂います。楽器や装飾品に使われる事の多い木材だけに、仕上がった商品はキラキラとした赤褐色の華やかさにて美しさを演出する木材です。
タモ
北海道やロシアなど寒冷地帯に生殖するモクセイ科の木材。黄白色系の色をしており落ち着きあるシックな感の木材。硬く、粘りがあり木目もはっきりとしています。寒い箇所で育った事もあり、夏目と冬目の境が細かく、柾目が美しい木材です。
タモは日本的なイメージを美しく演出する白木の代表格です。重硬で靱性・弾力性に富んでおり、野球のバットや家具などに使われることが多く、衝撃に強い事でテーブルや身近な家具によく使用されます。加工中はタモ材独特の臭いが漂います。使い込む程に黄色味を帯び味のある人肌色に変わる経年変化を楽しめる木材です。
アルダー
太平洋の北西海岸に生殖するカバノキ科の広葉樹。伐採直後は木口が鮮やかな赤色をしており、時間が経つにつれ淡い紅褐色へと変化していきます。堅くも無く、柔らかくも無くと加工性に優れており、狂いの少ない素直なナチュラル感の強い木材です。塗装を施すと色鮮やかに発色し、薄赤味ある品の良い綺麗な仕上がりとなります。ドアや家具、彫刻材などに使用されており、大きな木目が印象良く、重厚感を感じる仕上がりとなります。使い込む程に色は薄くなり、独特のエイジングの効いた風合いへと変わる姿を楽しめる木材です。
アメリカン・ブラック・チェリー
アメリカ東部に生植するさくらんぼの木。日本の桜の木に良く似た木目で、高級家具や楽器等に使われる銘木の代表的高級材です。伐採時は赤みが強い材で、空気に触れ、乾燥するにつれ人肌色に変化していきます。透明的なナチュラル感と気品高い雰囲気を漂わす美しい木目は古来から女性に人気の木材で希少性が高い材木です。メープルやウォールナットに比べると流通量は少なく、金額も高い材木です。比較的柔らかい為に加工し難く手間が掛かりますが、仕上がり品は、革のように使い込む程に飴色に変わることで美しく変化する楽しさのある木材です。
パープルハート
中南米に生植するマメ科の木。美しい紫色は人工的に染めたのでは無く、素からの自然の色です。心材は切断時には明るい紫色ですが、時間と共に暗紫褐色に変化していきます。家具材、造船、家のフローリングなどの内装に使われる木材で、発色良い優れた紫色は珍しく、面白さと美しさにて人気があります。木は割と重く、重労働で硬い為に加工が難しいです。不思議に無臭な木材です。仕上がりはラグジュアリーな美しさを漂わせ、艶を増していきますが、使い込む程に明るい紫色が茶系の落ち着いた色合いに変化していく楽しみな木材です。
黒檀
インドネシア等、南洋地に生植する高級材として有名な南洋木材です。WWFにて指定された地域で生育し、規制もあり、希少高価な木材です。良い質の木材は1立方mの大きさで高級車1台程の値段になり、希少性高く入手が難しい材です。稀に真っ黒なものもあり、それを本黒檀又は真黒(マグロ)といいます。縞杢があるものを縞黒檀(シマコクタン)と呼びます。縞模様もさまざまで多種多様な柄が楽しめます。非常に重く、抜き出た硬さで、刃物では切れない事があり、加工には悩まされます。磨くと艶を増し、塗装を施さなくとも光り輝きます。使い込む程に風合いを増し、耐久性に優れた木材です。
栗
日本国内に生息するブナ科の木材。3年で実を付けるように成長は早いが大きな径には育ちません。大きな木目と入り組んだ木目は日本風土を映し出すかのような複雑な模様が多く、はっきりしています。非常に硬く、加工には難があります。切削中には栗独特の渋味と甘さが入り交ざったような匂いが漂います。狂いが大きい「じゃじゃ馬」的なイメージのある栗材は、時を積む程に大人しくなり、味が深まり、狂いを楽しむ木材といえます。栗材にはタンニンが多く含まれる事で、黒ずみが早く深まり、情緒豊かにエイジングの効いた風合いに変わる姿は「人」のような楽しみと親しみを持つ木材です。